約 2,875,567 件
https://w.atwiki.jp/pathofexile12/pages/816.html
Wall of BramblesはPlate Vestのユニーク 入手方法 詳説・特徴 関連リンク Wall of Brambles Plate VestQuality +20%Armour 2422 ステータス要求値:LEVEL30, 12 STR Adds 2 to 4 Physical Damage to Attacksアタックに2~4のPhysical追加ダメージ +2000 to ArmourArmourに+2000 +(12-20) to maximum Life最大Life+(12-20) -2 Physical Damage taken from Attack Hitsアタックのヒットから受けるPhysicalダメージを2減らす 40% of Melee Physical Damage taken reflected to Attacker近接Physicalダメージの40%を攻撃者に反射する There is no wall thicker or stronger than fear. 入手方法 カード等のドロップ以外の入手方法 アイテム 必要数 備考 The King and the Brambles 1 Bramblejack 1 詳説・特徴 関連リンク 英wiki https //pathofexile.gamepedia.com/Wall_of_Brambles Unique Body Armours 一覧
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autolink 前兆の壁/Wall of Omens (1)(白) クリーチャー ― 壁(Wall) 防衛 前兆の壁が戦場に出たとき、カードを1枚引く。 0/4 《前兆の壁/Wall of Omens》をGathererで確認 《前兆の壁/Wall of Omens》をGoogleで検索 《前兆の壁/Wall of Omens》が使用された大会 取得中です。 カードテキスト転載元:Wisdom Guild様 2011 / 10 / 27
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アンロック要素[武器スキン] [処刑動作] [キャラクター・スキン][COG][レベル・アンロック] [特殊条件でアンロック] [DLCでアンロック] [ローカスト][レベル・アンロック] [特殊条件でアンロック] [DLCでアンロック] アンロック要素 [武器スキン] 武器スキン [処刑動作] 獲得条件に応じて解除 処刑の項目を参照。 [キャラクター・スキン] マルチプレイで使用可能なキャラクターとアンロック方法一覧。 詳しくはキャラクターと敵、DLCの項目を参照。 [COG] [レベル・アンロック] Lv1 Marcus Fenix(マーカス・フェニックス) Lv1 Dominic Santiago(ドミニク・サンチャゴ) Lv1 Damon Baird(デーモン・ベアード) Lv1 Augustus Cole(オーガスタス・コール) Lv1 Anya Stroud(アーニャ・ストラウド) Lv2 COG Gear(COG兵) Lv4 Samantha Byrne(サマンサ・バーン) Lv7 Dizzy Wallin(ディジー・ウォーレン) Lv10 Jayson Stratton(ジェイソン・ストラットン) Lv14 Clayton Carmine(クレイトン・カーマイン) Lv17 Classic Dom(クラシック・ドム) ドムのスキン。 Lv23 Classic Cole(クラシック・コール) コールのスキン。 Lv30 Classic Baird(クラシック・ベアード) ベアードのスキン。 Lv34 Benjamin Carmine(ベンジャミン・カーマイン) Lv45 Civilian Anya(シビリアン・アーニャ) アーニャのスキン。 Lv50 Victor Hoffman(ビクター・ホフマン) Lv75 Anthony Carmine(アンソニー・カーマイン) [特殊条件でアンロック] Superstar Cole(スーパースター・コール) コールのスキン。「MVP」の★★★☆ゴールドメダル獲得。 Classic Marcus(クラシック・マーカス) マーカスのスキン。 「ベテラン」の★★☆☆シルバーメダル獲得。 Richard Prescott(リチャード・プレスコット) 「創始者」の★★☆☆シルバーメダル獲得。 Golden Gear(黄金のCOG兵) 「ウォーサポーター」の★☆☆☆ブロンズメダル獲得。 Cole Train(コール・トレイン) コールのスキン。β特典。 Unarmored Marcus(非武装マーカス):「服務期間」の★☆☆☆ブロンズメダルを獲得。 Aaron Griffin(アーロン・グリフィン):「大金」の★★★★を獲得。 [DLCでアンロック] DLC(11月) Bernadette Mataki(バーナデット・マタキ) DLC(11月) Onyx Guard(オニキス・ガード) DLC (11月)Big Rig Dizzy(ビッグ・リグ・ディジィー) DLC Minh Young Kim(ミン・ヤン・キム) DLC Tai Kaliso(タイ・カリーソ) DLC Recruit Clayton(新兵クレイトン・カーマイン) DLC Thrashball Cole(Limited Edition)(コール・トレイン(リミテッド)) DLC Commando Dom(Limited Edition)(コマンド・ドム(リミテッド)) DLC Mechanic Baird(Limited Edition)(メカニック・ベアード(リミテッド)) 特殊DLC Aaron Griffin(アーロン・グリフィン) 特殊DLC Adam Fenix(アダム・フェニックス) 特殊DLC Commando Dom(コマンド・ドム) ドムのスキン。 特殊DLC Mechanic Baird(メカニック・ベアード) ベアードのスキン。 [ローカスト] [レベル・アンロック] Lv1 Drone(ドローン) Lv1 Grenadier Elite(グレネーディア・エリート) Lv1 Savage Drone(サヴェージ・ドローン) Lv1 Savage Grenadier(サヴェージ・グレネーディア) Lv1 Queen Myrrah(クイーン・ミラ) Lv3 Locust Miner(ローカスト・マイナー) Lv5 Beast Rider(ビースト・ライダー) Lv8 Locust Hunter(ローカスト・ハンター) Lv20 Spotter(スポッター) Lv26 Flame Grenadier(フレイム・グレネーディア) Lv39 Grenadier(グレネーディア) Lv60 Hunter Elite(ハンター・エリート) Theron Guard(セロン・ガード) [特殊条件でアンロック] Golden Hunter(ゴールデン・ハンター) 「Master-at-Armes」のゴールドメダル獲得。 Golden Miner(ゴールデン・マイナー) 「ライフルマン」のゴールドメダル獲得。 Sniper Drone(スナイパー・ドローン) 「ヘッドショット」のブロンズメダル獲得。 Kantus(カンタス) 「メディック」のゴールドメダル獲得。 Savage Theron(サヴェージ・セロン) 難易度インセインのBeastで敗北せずに12ウェーブをすべてクリア。 [DLCでアンロック] DLC General RAAM(ラーム将軍) DLC Theron Elite(セロン・エリート) DLC Savage Marauder(サヴェージ・モローダー) DLC Savage Hunter(サヴェージ・ハンター) DLC Savage Grenadier Elite(Limited Edition)(サヴェージ・グレネーディア・エリート(リミテッド)) DLC Savage Kantus(Limited Edition)(サヴェージ・カンタス(リミテッド)) 特殊DLC Savage Grenadier Elite(サヴェージ・グレネーディア・エリート) 特殊DLC Savage Kantus(サヴェージ・カンタス)
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公式サイト→TVアニメ「true tears」公式サイト 2008年1月 過去90日間に書かれた、true tearsを含む日本語のブログ記事 このグラフをブログに貼ろう! ブログ #blogsearch2 ニュース2 【藤井フミヤ】あなたが一番好きなアルバムはなに?(ねとらぼ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 白い砂のアクアトープ:伊藤美来、逢田梨香子、和氣あず未、Lynnが八景島シーパラダイスでイベント ペンギンと触れ合い 朗読劇も - MANTANWEB アニメ『TARI TARI』声優は歌唱力重視でキャスティング!? 合唱部を舞台に女子たちの交流と成長を描いた青春ストーリー【アマゾンプライムビデオおすすめ】(ファミ通.com) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース <白い砂のアクアトープ>第21話「ブルー・タートルの夢」 がまがま水族館解体 くくるが無断欠勤(MANTANWEB) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース <白い砂のアクアトープ>伊藤美来、逢田梨香子が沖縄県南城市に 風景に感動(MANTANWEB) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース <白い砂のアクアトープ>くくるや風花に沖縄県南城市の特別住民票交付 セレモニーに伊藤美来、逢田梨香子(MANTANWEB) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 放映10年 ファン絶えず【とやま聖地巡礼】2(北日本新聞) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース <白い砂のアクアトープ>第10話「置き去りの幻」 くくるの形勢逆転のアイデア 風花に映画主演のオファー!?(MANTANWEB) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「true tears」今もファン巡礼 アニメ舞台の城端(富山)、移住した人も(北日本新聞) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース “ポスト宮崎駿”の筆頭? 新海誠も嫉妬するアニメ監督・岡田麿里という存在 - まいじつ 多彩なコンセプトを掲げたミックスCDを発表し続けているDJ和インタビュー!「CDと共にどこまでいけるのか試したい」(WEBザテレビジョン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 伊藤美来&逢田梨香子:「白い砂のアクアトープ」で姉妹のように 二人だから分かる“間”も - MANTANWEB 白い砂のアクアトープ:テレビアニメの第2弾PV がまがま水族館のために奮闘! 伊藤美来のウェブラジオ番組も - MANTANWEB 白い砂のアクアトープ:テレビアニメ放送直前特番が6月13日配信 伊藤美来、逢田梨香子、和氣あず未、Lynn登場 - MANTANWEB 白い砂のアクアトープ:7月8日スタート 追加キャストに土屋神葉、阿座上洋平、家中宏 P.A.WORKSオリジナルアニメ - MANTANWEB 「SAO」「ペンギン・ハイウェイ」の背景手がけたBambooの画集、背景画約500点を収録 - ナタリー P.A.WORKSのアニメ作品、あなたが一番好きなのは?【2021年アンケート】 | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ 白い砂のアクアトープ:和氣あず未が定食屋の看板娘に 沖縄の公務員役にLynn P.A.WORKSのオリジナルテレビアニメ - MANTANWEB 春限定メニュー提供 アニメ「truetears」ちなみ 南砺・カフェトリアン|地域|富山のニュース|富山新聞 - 北國新聞 ピーエーワークス20周年CDが3月17日発売、「true tears」など過去作のOP&ED網羅 - ナタリー アニメ『true tears』のコラボカフェが3/5より富山県・南砺市で開催決定。お食事券やグッズはネット注文も可能 - ファミ通.com 白い砂のアクアトープ:P.A.WORKSのオリジナルアニメが7月スタート 舞台は沖縄の小さな水族館 伊藤美来、逢田梨香子出演 - MANTANWEB 【true tears】声優情報と作品概要・あらすじ紹介 - AppMedia(アップメディア) 『true tears』 P.A.WORKSが贈る、切ない青春群像劇の原点(2008年のアニメ)【なつかしアニメレビュー】 - ファミ通.com 神様になった日:麻枝准の原点回帰 コメント「ゲームクリエイターがアニメに挑戦し続ける理由」公開 - MANTANWEB PAWORKS北陸青春3部作『true tears』『花咲くいろは』『グラスリップ』のキャンバスアートが登場 - 電撃オンライン 「true tears 10周年記念 Blu-ray Box」9月26日発売 期間限定生産のスペシャルプライスで登場 - PR TIMES 「true tears」放送10周年記念ブルーレイボックスの発売決定 第13話は特別版を収録 - アニメハック TVアニメ『true tears』のBlu-ray Boxが9月26日に発売。富山県城端むぎや祭では先行発売が実施予定 - 株式会社KADOKAWA true tears:BDボックス発売 テレビアニメ10周年記念 - MANTANWEB(まんたんウェブ) 「true tears」10周年記念BD-BOX登場 岡田麿里×P.A.WORKS 初タッグをスペシャルプライスで - アニメ!アニメ! テレビ放送10周年記念!「true tears 10周年記念 Blu-ray Box」が発売決定! 期間限定生産のスペシャルプライスで登場! - アニメイトタイムズ 岡田麿里×P.A.WORKSの原点が10周年で蘇る 『true tears 10周年記念 Blu-ray Box』発売 - http //spice.eplus.jp/ 岡田麿里×P.A.WORKS最強タッグの原点的作品「true tears」がスペシャルプライスで登場! - 超! アニメディア 放送10周年「true tears」のBlu-ray BOXが9,800円。岡田麿里×P.A.WORKS - AV Watch P.A.WORKSの電子書籍レーベル「P.A.BOOKS」創刊 第1弾に「true tears」「クロムクロ」「TARI TARI」 - アニメハック P.A.WORKS、電子書籍専門レーベル「P.A.BOOKS」創刊! 5月に『true tears』 - マイナビニュース P.A.WORKSの電子書籍レーベルが創刊、第1弾に「true tears」など - ナタリー P.A.WORKSオリジナル新作アニメ「グラスリップ」、PV第1弾を公開! 監督は「true tears」の西村純二 - アキバ総研 P.A.WORKSが初の作品展を開催! 「true tears」や「いろは」、「Angel Beats!」など - アニメ!アニメ!Anime Anime チケット完売「P.A.WORKS合同ライブ」が全国でライブビューイング スフィア、eufoniusら出演 - アニメ!アニメ!Anime Anime P.A.WORKSの3作品合同ライブ開催決定 「true tears」「花咲くいろは」「TARI TARI」 - アニメ!アニメ!Anime Anime 「true tears」のスタンダード版BD-BOXが 13年1月発売 - AV Watch 「true tears」の上田夢人、初の画集が一迅社より本日発売 - コミックナタリー 「true tears BD-BOX」の画質をチェックしてみた - AV Watch 「true tears」BD-BOXの画質は1080pではなく1080i、スペック誤表記でバンダイビジュアルが謝罪 - GIGAZINE アニメ「true tears Blu-ray BOX」の仕様に誤表記 - AV Watch ファンの力が実現 -「あなたの力でBD化プロジェクト」から生まれた「true tears」の舞台裏 (1/2) - PHILE WEB - Phile-web アニメ「true tears」、地元CATVにて6夜連続放送が決定 - GIGAZINE asahi.com:アニメ「true tears」ロケ地にファン続々 - コミミ口コミ - 朝日新聞
https://w.atwiki.jp/yutampo/pages/28.html
Frost Resist Part Name Frost KB FB MA PW PF PN Chest Iceguard Breastplate 60 8 0 0 12 12 1 Head Iceguard Helm 50 8 0 0 12 12 1 Legs Iceguard Leggings 60 8 0 0 12 12 1 Finger The Frozen Eye 35 2 0 4 6 6 0 Neck Pendant of Thawing 30 0 2 1 4 6 0 SUM 235 26 2 5 46 48 3 KB=Khorium Bar FB=Felsteel Bar MA=Mercurial Adamantite PW=Primal Water PF=Primal Fire PN=Primal Nether
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tags multisided_market definition url definition 日本語では、multi-sided market 多面市場、2sided market 両面市場 RochetTirole2003platform 企業が顧客同士が相互作用をするためのプラットフォームを提供しており、相互作用の量がそれぞれの顧客が課される料金の合計のみならず、料金のバランスにも依存する場合、市場は両面性を持つという。 categorization effects history related references RochetTirole2003platform RochetTirole2006two @article{RochetTirole2006two, title={Two-sided markets a progress report}, author={Rochet, J.C. and Tirole, J.}, journal={The RAND Journal of Economics}, volume={37}, number={3}, pages={645--667}, year={2006}, }
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CD情報 CD名 リリース日 アーティスト Pieces of a Dream 2014.10.26 uma http //astralsky-piecesofadream.tumblr.com/ Track No. 曲名 アーティスト 演奏時間 01 toy vox -extend- uma 02 Haruka Kanata uma 03 beyond the horizon -extend- uma 04 Believin Dreamin -extend- uma 05 Dears -extend- uma 06 Falchion Alpha -long version- uma 07 tall me say "good-bye" uma 08 take a step forward -extend- uma 09 toy vox(SOA non vox mix) SOALAR 10 Believin Dreamin -Hypnotic Mix- u_Key 11 Dears (Aki s Mix) Aki 12 take a step forward(XIzE-Remix) XIzE
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Call of Duty Modern Warfare 2 プレイ動画 THE PIT タイムトライアルに挑戦!その2 Call of Duty Modern Warfare 2にて。 またもや某ゲリラさんにやろうぜと言われてやりました。 なんと、やっと19.90秒といういいタイムが出ました! 終わったあと「ふぉああああああ」って2人で叫んでました。 THE PIT タイムトライアルに挑戦! Call of Duty Modern Warfare 2にて。 某ゲリラさんにやろうぜと言われてやりました。 そこそこいいとこまでいった結果だと思います。 なかなか10秒台に乗らないのが難儀でございます・・・。
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Scars of the War(前編) ◆igHRJuEN0s ――C-3の中学校校舎一階にある保健室。 そこにはまだ年端もない少年と少女の二人がいた。 どうやらこの二人は口論をしているようであり、保健室は険悪な空気である。 「……そんなこと、信じられるわけないだろ」 「私だって、信じられないよ……」 少年・佐倉ゲンキが、少女・『 』(名簿上はキョンの妹)相手に眉間にシワを寄せる。 対する少女・キョンの妹は俯きながらも言葉を返す。 「で、でも、掲示板に書かれてたことが本当ならゼロスさんは……」 「それ自体が嘘かもしれないじゃないか!」 ゲンキの反応はキョンの妹の述べた事の否定だった。 しかし、そんなゲンキにキョンの妹の着ているスクール水着もといパワードスーツに搭載された人口知能・ナビたちが畳みかけるように主張する。 『ゲンキ殿、その情報はおそらく嘘ではないと思うであります』 『名前の書き込み欄には間違いなく『東谷小雪の居候』と書かれてたですぅ』 『東谷小雪の居候で、俺達の記録に該当する人物は一人……ドロロしかいない』 『それにヤツは嘘も言えないくらいクソ真面目だし、おまけにこんな状況で冗談を吐くような野郎じゃねぇ。 殺しあいにのるようなタマでもねぇし、扇動の類も考えづれぇ、信憑性は高いと思うぜ?』 「だ、だけど……」 ゲンキは、胸の中でモヤモヤしたものが溜まっていくのを感じていた。 そして、一呼吸の間を置いてから、自分の中の素直な・率直な、思いの丈を口にする。 腹の中の空気を吐き出すように、強く強く述べる。 「俺は……、一度でも信用としようと思ったゼロスさんが! そんな悪い奴だったなんて、思いたくないんだよ!!」 --- そもそもの口論の発端はキョンの妹がもたらした情報である。 それは、ゼロスが危険人物かもしれないということ。 掲示板に書かれた外見については、間違いなく二人の知るゼロスのものであった。 しかし、他に二人が知らない特徴もあった。 『人を見ると問答無用で襲いかかってくる可能性があり』 『自分の利益にならないとなると女子供でも消し炭する心ない奴』 確証らしい確証こそ二人は持ち合わせていないが、もしこれが本当ならば、ゼロスは間違いなく危険な男である。 ホリィの話についても、自分たちを利用するための、でっちあげの可能性もあるのだ。 となると、ホリィを殺したのはゼロスであるかもしれないのだ。 それでも、ゲンキはゼロスを悪い人間とは思いたくなかった。 自分たちに向けてくれたあの笑顔も。 ホリィが死んだショックで生気を失いかけていた自分に喝を入れてくれたことも。 悲しみを分かち合い、涙を流してくれたことも。 ホリィが何を思って死んだのかを、真剣な眼差しで話してくれたことも。 ――全部、芝居。 ……まだ時間としては短いにしろ、ゼロスを信じていたゲンキとしては、認めたくはなかった。 だが、キョンの妹やナビたちが自分に嘘をつくハズがないし、思えない。 ならば、掲示板の方に何かの間違いがあるのではないか、と思いたかった。 だが、ナビたちの主張によると、間違いではない、らしい。 だから、二人の胸の中は一つの掲示板がもたらした情報に対する半信半疑、ゼロスに対する半信半疑で、モヤモヤしたものがどんどん溜まっていく。 おまけに、ここには危険人物がいるらしいときた。 それがゼロスかどうかは不明だが、とにかくここにいるのは危ない気がした。 よって、保健室は先程のようにゲンキがキョンの妹の生まれたままの姿を見てしまった時とは全く違う意味の気まずい空気が流れていた。 ゲンキは苦悩し、キョンの妹は困惑している。 その重たい空気の中でキョンの妹は口を開く。 「ゲンキ君……もし、もしもだよ? ゼロスさんが本当に殺しあいに乗っていたらあなたはどうするの?」 「……」 ゲンキはしばらく沈黙を保った後に、答えた。 「その時は俺がゼロスさんを、……いや、ゼロスを力づくでも止める」 ギロロ・ナビはその意見に対して、厳しく評価する。 『掲示板の内容を見た限り、ゼロスの実力はかなりのものだ。 おまけにおまえは怪我人。 力づくで止めると言っても、危険な話だぞ?』 「実力なんて関係ない! 殺しあいに乗っているなら、最も近くにいる俺が止めなくちゃいけないんだ……それに……」 ゲンキは怒気を込めてナビの言葉を否定する。 しかし、次の言葉を吐き出す前にゲンキの眼には薄く涙が溜まっていた。 「俺はもう、モッチーやホリィのように、仲間を失いたくないから…… まだ会ってもいない良い人たちや『 』が死んだりしたら、悲しいじゃないか!!」 「ゲンキ君……」 その涙は、彼がまだ幼い故に流した涙であった。 ゼロスが殺しあい乗った悪者であり、ホリィを殺した張本人であるということを信じたくなかった。 だが、それが真実なら、自分は一時でも、掛け替えのない仲間を殺した者に騙され心許した事になる。 そんな自分が許せなくて、怒りと悲しみが込み上げてくる。 本当は、もう二度と、キョンの妹の前で泣かないつもりだった。 だが、ゲンキはこらえきれなかったのである。 数適の涙が、ゲンキの頬を伝って落ちていく。 一方のキョンの妹は、今のゲンキを励ます言葉も見つけられず、ただただ自分までゲンキに釣られて泣きたくなるほどに苦悩するだけだった。 だが、ここで状況に変化が起きる。 『あのー、水を挿すようで恐縮でありますが……』 それはナビからの突然の報告である。 『特殊なエネルギーの流れを周辺……この校舎内からキャッチしたであります』 --- 『化け物を皆殺しにして、みんなを救う、加持さんを助ける、ママに褒めてもらう』 その思いを胸に、少女アスカは高校を目指している。 「待ってなさいよ化け物ども! このアタシが必ず殺してあげるから!」 自分を鼓舞するように言った言葉には、ドス黒い殺意に塗れていた。 ただひたすら、化け物がいたら殺すことが第一なのだ。 特にヴィヴィオとガイバー(深町晶)を殺すことには余念がない。 そして、化け物を殺し、今度こそ長門に加持の居場所を聞き出して、彼を救った自分の勇姿を想像すると、自己陶酔に口角を吊り上げてニヤリと笑う。 まだ遠いが、学校が見えてきた。 校舎は二つあるみたいだが、どちらかが高校だろう。 それを見つけ、化け物殺しを意気込むアスカは、心なしか一刻も早く高校へ向かうための駆け足が早くなっているようだった。 --- 突然のハプニングより、二人の口論は一度は中断となった。 しかし…… 「さっきから言ってるでしょゲンキ君! ここには危ない人がいるかもしれないんだよ!?」 『そうであります。 ゼロスが掲示板に書かれた危険人物……かはわかりないでありますが、この周辺は危険かもしれないであります。 ここは校舎から即時撤退を……』 「嫌だ! 俺はここに残るんだ!」 結局は新たな口論が起こっただけに過ぎないのだ。 口論の次はまた別の口論が生まれていた。 キョンの妹とナビたちは、ゼロス・掲示板に書かれた危険人物・エネルギー発生について、この校舎にいるとは危険と判断し、離れるべきだと結論した。 しかし、ゲンキはこれを拒否。 理由は、ゼロスと直接あって掲示板に書きこまれていた事とホリィの死に関する事の真偽を問いただすため。 そして、仮に彼が殺しあいに乗ってる場合は力づくで止めにいくと言い出したのだ。 そのために、ゼロスが戻ってくるまではこの校舎で待つと言って話を聞こうとしない。 「ではこの校舎で起きた謎のエネルギーについてはどうするのか?」、と聞かれると、ゲンキは、「俺が調べに言ってくる」と言いだした。 そして自分のディパックを持ち、保健室から出ていこうとするが、キョンの妹が引き止める。 「止めるなよ『 』」 「ダメだよ! どんな危険があるかわからないのに……例えば殺しあいに乗った危ない人が君はどうするの!?」 『そうですぅ、それにゲンキっちの体はまだ戦っていけるほど治ってはいないと思うですぅ』 「じゃあ、調べに行くだけなら俺一人でも……」 「ダメだってば!」 こんなやり取りが、特殊なエネルギーが発生しナビがそれを察知した時から数十分以上長く続いているのだ。 ゲンキは校舎から離れることにとにかく反対し続ける。 キョンの妹やナビたちがどうにか説得しようとするが、ゲンキはとても頑固だった。 誰が見てもいくらか冷静さを欠いているとわかるくらいに。 「ねぇ、どうしたのゲンキ君? さっきから変だよ!?」 「……」 行動がおかしい事を指摘されたゲンキは黙り込む。 そこを、ゲンキの心情を察したギロロ・ナビは言った。 『おまえ、焦ってるんじゃないのか? 自分の仲間を殺したかもしれない奴が近くにいることに』 「……!」 ギロロ・ナビの言葉にゲンキはピクリと反応し、顔を上げて、反論する。 「俺は……焦ってなんかない!」 『そうか……それなら良いが。 だが、聞いてほしい。 焦りと感情任せの行動は自分や仲間に不幸を招く。 おまえの迂闊な行動や我儘が『 』の身を危険に晒すことだってあるんだ』 「……!」 言葉の中にある自分のせいで『 』が危険になるというくだりにゲンキは何かに気づいたように反応する。 ギロロ・ナビが、言葉に電子音声とは思えない真剣みと凄みを含めて続けて語る。 『何事も慎重に行動しろ。 まだ子供であるおまえには難しい話かもしれんが……少なくともおまえのせいで我々の装着者であるこの少女を不幸にすることだけは許さん!』 自身の行動についてギロロ・ナビに説教をされたゲンキは考え、そして思う。 (わかってるんだ……、俺は『 』を守らなくちゃいけないのに…… 怪我をしてる俺はいつもの調子で戦えるかもわからないし、『 』の水着みたいなパワードスーツがあるからと言って、戦わせて危険な目に合わせたくない。 この学校にいちゃ危ない事くらい少し考えればわかること……) だが、確証はないハズなのに、笑顔のゼロスがホリィを焼き殺すイメージがゲンキの脳裏に思い浮かぶ。 さらに、顔のわからない殺人鬼がモッチーを殺すイメージまで想像してしまう。 自分の近くにいる殺しあいに乗った人間を、今すぐに力づくでも止めないといけない気がしている。 さもないと、ホリィやモッチーのような人やイイモンがその者に殺されてしまう気がし、そうなれば自分が見殺しにした気にもなる。 それを強い正義感を持つゲンキは許せなかった。 (ダメだ……どうしても気持ちを抑える事ができねぇよ……) ギロロの言い分はわかる、しかし自分の正義感にも嘘がつけない。 まだ妥協する事に慣れていない子供であるゲンキには、この葛藤はとてもツラすぎた。 そして、自分の中でも答えが出せないゲンキは、保健室にある窓に自分から軽く額をぶつけて悔しそうに呟く。 「ちくしょお……」 キョンの妹はギロロの凄みのある説得の中で口を挟む事もできず、落ち込むゲンキにかける言葉も見つけられず、何もできなかった。 「ゲンキ君……」 言葉を口にできないくらい気まずく、重たく沈んだ空気が保健室を支配していた…… しかし、窓に額をぶつけていたゲンキの瞳が何かを発見することにより、その空気も変化をきたす。 「……グラウンドに人がいる」 「え?」 そこへゲンキは指を指す。 キョンの妹が指を指された先を見ると、広い学校のグランドと、そこを走ってこちら側に、つまり校舎に向かってくる少女がいた。 「『 』の知り合いとかじゃないのか?」 「いや、あんな人は見たことないけど」 赤みのある髪、またはオレンジ色の髪を持つ自分達よりいくつか年上の少女は、二人にとって見知らぬ人物であった。 二人はその少女に、どう対処するかを考え、そして―― 「あの人を良くみると、あちこち怪我をしているみたいだ。 何かあったのかもしれない……会ってみるか?」 ――決断を下したのはゲンキだった。 --- 市街地を走り抜け、そのまま走って校門の内側へと入っていく一人の少女。 (ようやく、高校についたわ。 ……加持さんの命は待ってくれない、早めにやるべき事をやるために、校舎に入りますか) 彼女はその学校の校舎玄関を目指して行く。 ……彼女の間違いを一つ指摘させておこう。 彼女が入ったのは高校ではなく、中学校である。 なんでそんな間違いをしたのか? 普通なら校門に書かれた「私立ksk中学校」という表札を見れば一発でわかることだろう。 だが、彼女はそれすらも失念していた。 原因は化け物を倒すことへの異様な使命感、加持を助けることへの焦り、自分は冷静だという思い込みからだろう。 ――そんな彼女は不幸を呼び込む。 そして不幸が通った後には必ず、沢山の傷を残していく…… --- 怪我を負っているかもしれない少女と接触すべく、保健室を後にした二人は周囲を警戒しつつ、おそらく接触するであろう校舎の玄関を目指す。 ゲンキの手にはリボルバー拳銃・S&WM10が握られていた。 「ゲンキ君それって……」 「あぁ、本当はこんなもの使いたくないんだけどな……」 ゲンキは本来、素手でモンスターと渡り合えるぐらいの運動神経とガッツを持っている。 だが、今は負傷し、元の実力の半分も出せない気がする。 だから不本意ながら、ディパックから一度も使った事がない銃を持つ事にした。 もっとも、ゲンキにはこの銃で相手を殺す気はない。 「脅しくらいにしか使う気はないけど…… 『 』の水着……じゃなくてパワードスーツは充電に時間がかかるからできるだけ使わせたくないし」 「……ゴメンなさい」 パワードスーツが動かなければ、自分はただの女の子もとい足手まとい。 そう思ったキョンの妹はうなだれ落ち込む。 それを見たゲンキは、微笑みかけつつ彼女を励ます。 「気にするなって、『 』の良いところはパワードスーツだけじゃないし、それ以外で『 』に助けられた事はある」 「え……それって……」 キョンの今は自分の何が彼を助けたのかがわからず、首を傾げる。 「『 』がいなかったら、俺はモッチーやホリィの死で冷静さを失ったり、落ち込んだ時に『 』がいたおかげで立ち直れる事ができたんだ。 おまえが居てくれただけで、俺は頑張れるんだ」 「ゲンキ君……」 「だからそう落ち込むなよ。 おまえが支えてくれて、俺は感謝しているんだ。」 「それは――」 ――私はたいしたことはしていない。 ――こっちだって君がいたから救われたんだよ。と、言いかけた所で、ナビの報告が入る。 『例の人物が接近してくるであります』 どうやら、保健室の窓から見た女性が近づいてきているらしい。 「そうか」 『……先に言っておくでありますが、無理や無茶は禁物でありますぞゲンキ殿』 『こっちはパワードスーツがあるとはいえ、手負いも一人いる。 戦闘になったら逃げるつもりでいろ。 幸いにも、ここは一階で窓から外に出られるなど、退路は多いからな』 「あぁ、わかったよ」 保健室にいた時とは違い、ゲンキは幾分か素直にナビの提案を聞き入れていた。 『さっきと比べれば、やけに素直ですなゲンキ殿?』 「ギロロのおかげで少し頭を冷やせたから……」『ほう』 どうやら、ギロロの言葉はゲンキに通じたらしい。 または、新しく起きた出来事に気持ちを切り替えたようだ。 「目の前にいる大切な仲間を、自分の焦りや我儘で『 』を死なせるような真似は絶対にしたくないんだ。 そうなったら俺が自分を許せないから」 「ゲンキ君……」 ゲンキのその言葉はキョンの妹にとって頼もしく思えた。 何よりも大切な仲間だと言ってくれた事が嬉しかった。 『接触まで30秒足らずだな。 見た限り、怪我はしてたみてぇだが、殺しあいに乗ってなきゃ良いけどなぁ~? 警戒はしとけよ~? ク~ックックック~』 最も性格の悪いクルル・ナビが皮肉じみた口調で報告する。 もう、余計なお喋りをする暇はない。 ナビの忠告通りに二人は警戒を強め、下駄箱を盾がわりに身を隠す。 そして、彼女はやってきた。 --- アスカが学校の玄関に入ると、そこには規則正しく並んだいくつかの下駄箱と、それを遮蔽物にこちらを伺っているゲンキとキョンの妹がいた。 アスカと接触を試みたゲンキだが、念のため警戒し、拳銃を構える。 できれば使うどころか、人に向けるのも嫌なためか、ゲンキは険しい顔をしている。 いきなり拳銃を向けられたアスカの方は、舌打ちしながらも両手を上げて無抵抗なそぶりを見せる。 様子を見ているキョンの妹は緊張しているのか、少し震えている。 この緊迫した空気の中で先に口を開いたのはゲンキである。 「ごめん、もし殺しあいに乗っていなかったら驚かせた事を謝るよ。 俺達はこの殺しあいに乗ってない、アンタの方はどうなんだ?」 アスカはディパックから手を抜き、友好的そうな態度で質問に答えた。 「私も人殺しをするつもりはないわ。 私としては同じ仲間に会えて良かったわ」 「まだ信用できない……」 ゼロスの事もあり、二人はまだ警戒を解かない。 そこでアスカは提案する。 「それじゃあ、こうしましょ。 このディパックの中に私の武器が入ってるわ」 そう言うと、アスカは自分のディパックをゲンキたちの足元に向けて投げる。 自分から、武器や道具を捨てることで、無抵抗と信頼の証を立てようとしたのだ。 もしもの場合は自分が殺されるかもしれないのに。 アスカの意外な行動に、ゲンキとキョンの妹は驚き、互いの意を求めたかったのか、一度二人で顔を合わせる。 そして再びアスカに向き合う時は、二人は今度こそ警戒を解く。 「わかった、銃なんて向けて悪かった」 ゲンキは拳銃をズボンのポケットにしまい、アスカは両手を下ろすと友好の笑顔を向ける。 重苦しく緊迫した空気がフッと軽くなった。 アスカが殺しあいに乗っていないと認識した二人は、下駄箱の影から姿を現し、そして名乗った。 「俺の名前は佐倉ゲンキ」 「私は『 』……なぜか名簿は『キョンの妹』になっているけど……」 「アンタの名前は?」 たしか、名簿に佐倉ゲンキとキョンの妹という名前があった気がする・・・・・・キョンの妹とつけられたのはツッコミどころがあるけど。 そう思いながらも、向こうが名乗りあげた以上、こちらが名乗らないのは失礼だと思い、アスカも名乗ることにした。 「私はアスカ、惣流・アスカ・ラングレーよ」 次にキョンの妹はアスカに近づき、心配な面持ちでアスカに尋ねる。 「それにしても、あちこちボロボロですよ。 誰かに襲われたんですか?」 アスカの身も服もボロボロであり、右手に至っては人差し指を失っている(傷は塞がっているが)、痛々しい姿である。 アスカはこれを苦虫を噛んだような顔をして、経緯を語りだす。 「化け物に襲われたのよ……深町晶という怪物やカエルみたいな化け物に」 「深町晶? カエルみたいな化け物?」 その時、アスカにとって聞き覚えのある、そして滅したハズの声が耳に入った。 『深町晶? 確か名簿にあったような…… カエルのような怪物……ってまさかケロン人のことでありますか!?』 今までナビたちは、余計な混乱を招かないように様子見をしていた。 そして、アスカに危険がないと判断した今、ナビたちはようやく喋り始めたのだが…… それがアスカのスイッチを入れてしまったとは人口知能でも予想できなかったであろう。 アスカは血相が、みるみる内変わっていく。 「…………」 キョンの妹はナビたちの会話に気を取られて、目の前のアスカの変化に気づいていない。 「それじゃあ君たちの本物の誰かが殺しあいに乗ったってこと?」 『わ、わからないであります! タママ辺りが乗りそうな気がするけど……』 『酷いですぅ、僕のオリジナルはそんな悪いヤツじゃないですぅ』 キョンの妹より少し後ろにいたゲンキは、アスカの豹変に気づき初めていた。 「……!?」 「なんで……」 「?」 アスカの口から言葉が漏れたのを、聞いたキョンの妹はアスカを見上げる。 そこには怒りの眼差しを自分に向けたアスカがいた。 なぜ、自分を睨んでいるのか? そう思った時にはもう手遅れだった。 「なんでアンタが生きてるのよぉぉぉぉぉ!!」 アスカは叫びと同時に、襟首に隠したアーミーナイフを手に取りキョンの妹の首を目掛けて、横に振った! 凶刃が迫る。 あまり突発的すぎて反応できないキョンの妹は、避ける事も叶わず―― 「あぶねぇ!!」 そこへ、いち早く察知できたゲンキが、彼女のジャージの襟首を掴んで引っ張ることにより、刃は首を斬りさく事なく、『位置をそらす事』はできた。 ジャッ 肉を裂くような音と同時に、血が飛散した。 だが、彼女の首は無事であった。 彼女の『首は無事』であった。 「きゃあああぁあああぁあああぁあああぁあああ!!」 「『 』ッ!!」 『妹殿!?』 斬られてすぐに彼女の顔に焼けるような痛みが走る。 それは彼女が生まれて初めて体感した、刃物で斬られる痛みであり、パニックを引き起こしていた。 ゲンキが彼女の顔を見ると、鼻より上の位置に横一線の刀傷ができていた。 ゲンキが彼女を引っ張った時に刃の位置がズレて、刃が顔を横にえぐってできた結果である。 その傷から生々しくダラダラと血が流れ、『 』は痛みに悶え苦しみながら涙を流し、傷口を抑えている。 泣き叫ぶキョンの妹を抱えつつ、ゲンキとナビは襲い掛かってきたアスカに対して怒りを露にする。 「いきなり何すんだよ!! 殺しあいに乗ってないんじゃなかったのか!?」 「私は『人殺し』はしないわ。 でも人間じゃない怪物は殺しても良いハズよ? だから怪物の仲間であるアンタたちは殺すべきなのよ!!」 「何をわけのわからない事を!」 『理不尽であります!』 アスカの言動は、小学生であるゲンキでもわかるくらい目茶苦茶であった。 「化け物はさっさと死ねぇ!!」 追撃を仕掛けてくるアスカ。 ゲンキはパニックですぐに動けないキョンの妹の前に立ち、相手の足を止める目的で、ポケットに挿してある拳銃を取り出そそうとするが、アスカがそれを許さない。 銃口を向けられるより早く、横薙ぎのナイフが放たれる。 勢いよく振られたナイフと拳銃がぶつかり、鋼同士のぶつかる音と火花を立て、拳銃はゲンキの手元から弾かれる。 「しまったッ!」 弾かれた拳銃が、床に落ちる。 ゲンキとアスカはその拳銃を拾おうとし――先に拾ったのはアスカだった。 『武器を捕られたですぅ!』 『逃げろ! ここは撤退するんだ!!』 ナビたちはゲンキと『 』に逃げるように促す。 「痛い、いたいょぉ……」 「クソッ、しっかりするんだ『 』!」 ゲンキはそれに従い、痛みに悶えるキョンの妹の手を引っ張り、逃げようとする。 「逃がすかぁ!!」 アスカは奪った拳銃を左手に持ち、銃口を逃げる二人に向け、撃鉄を引いた後にすかさず発砲する。 パァン、と銃音と共に弾丸が放たれた。 しかし、弾丸は二人には霞めるだけて、当たらず、先にある壁に穴を開けるだけで済んだ。 外れた弾丸に、アスカは悪態をつく。 「くそっ、右手が無事なら左手で撃つ必要はないのに」 人差し指が深町晶にもがれてなければ、右手でトリガーが引けただろう。 あまり慣れない左手で銃を撃たねばならない事に、アスカは悔やみつつも、逃げる二人を追いかけながら再度射撃を実行しようとする。 「ヤバイ……ん、あれは?」 一度は向こうから外れてくれたが、次もそうとは限らない。 それを感づいていたゲンキの目に、あるものが入る。 学校の廊下に備え付けられた「消火器」だった。 それを見て閃いたゲンキは、すぐに消火器を手に取り、ピンを外してノズルをアスカに向ける。 本来、消火器は火を消すための非常用の物品なのだが、今は違う意味で非常事態である。 ゲンキはアスカがトリガーを引くより早く、消火器のトリガーを引いた。 ノズルから勢いよく、粉が飛び出した。 「喰らえ!!」 「わっぷ!」 粉が少しばかり口の中に侵入し、目への侵入を防ぐために視界は粉に覆われ、アスカは怯む。 「今だ!!」 相手が怯んだこの隙にゲンキは、消火器を捨ててキョンの妹の手を引っ張って、一目散に逃走する。 「ゲホッゲホッ、ペッペッ」 口の中に入った粉をアスカは苦しそうに吐き出す。 そして次に目を開くと、そこには二人の姿はなく、あるのは積もった粉と、床に転がった赤い消火器、そして粉まみれのぶざまな自分。 業を煮やしたアスカは、腹いせに消火器を蹴り、鬼のような形相で吠える。 「クソッタレぇぇぇ!!」 消火器の白い粉でつけられた二人の靴の後を見つけた。 それは校舎内へと向かって延びている。 玄関は自分が塞いでいたため、内部へ逃げるしかなかったんだろう。 「上等よ! 絶対に見つけだして殺してやるわ……!」 先程、自分で投げたディパックを拾いあげ、校舎の内部に逃げ込んだ二人を追い掛ける。 右手にナイフ、左手に拳銃を持って、鬼ごっこが始まった。 --- 危なかった…… 化け物の意表をつくためにナイフをディパックでなく、襟首に隠したのは正解だった。 まんまとディパックに武器が入ってると騙すことができたわ。 それでも少しは人間だとも思っていた。 信頼が示したくてディパックを渡したの本当よ。 だけど、化け物は草壁サツキみたいに人間に『擬態』する奴もいる事という事を奴らは思い出させてくれたわ。 結局ヤツらも化け物の仲間だったのよ。 ……ヤツらが化け物の仲間である根拠? それはあの耳障りな声、殺したハズのカエルの化け物・ケロロと、もう一匹の黒いカエルの化け物・タママの声がしたからよ。 特にケロロ、アイツが死んでいれば私は加持さんを捜すことができたのに、よりによって生きてやがった…… もちろん、周りにケロロはいなかったし、声がしたのは『 』からだった。 おそらく無線か何かで連絡を取っていたのね。 無線を取り合う中なら仲間じゃないハズがないわ。 多分、奴が私に『成敗』されかけた腹いせに、あの『二匹』を使って殺そうと企んだのね? でも、アタシはそれを逆手に取ってやった。 あの二匹は私がディパックを捨てて無抵抗になったと油断した。 『ゲンキ』は弾が勿体ないのか、銃をしまい。 『 』が心配するフリをして、近づいてきた。 隙を見て、爪やら牙やらで襲い掛かるつもりだったに違いないわ。 逆に私は油断してるヤツらに手傷を負わせ、武器を奪う事もできたわ。 さて、後はヤツらを殺すだけ。 化け物を殺すカウントが4になって、長門から加持さんの居場所を聞き出す分には一匹分あまっちゃうわね。 だけど、ここで殺しておかないと、加持さんや副指令、その他の『人』たちに危害が及ぶわ。 だから『みんなのために』私が化け物を殺してあげるね! 頑張るから応援してね、ママ! --- 時間は少し遡る。 ――きゃあああぁあああぁあああぁあああぁあああ!!―― 甲高い少女の悲鳴が耳に入り、同じ校舎の一室で気を失っていたヴィヴィオと朝倉は覚醒する。 二人が、バッと身を起こし、すぐに周囲に目を通して状況を確認する。 「ゼロスさんとスグルさんがいない……!」 次に気づいたのは、ゼロスとスグルがこの場にいなくなっている事実を朝倉は口にした。 スグルがSOSマークが映っていたパソコンにぶつかった時に発生した光……朝倉はそれを観測しきれなかったが、とにかくエネルギーらしきものが発生したと思われる。 おそらく、それが原因でゼロスとスグルの二人はこの場から姿を消したのだろう。 (死んでなければ良いけどね……) 朝倉は二人の所在と生存を疑った。 そんな朝倉にヴィヴィオが心配そうに顔を合わせる。 「涼子お姉ちゃん、何か悲鳴が聞こえなかった……?」 自分達を覚醒に導いた悲鳴についてヴィヴィオが問いかける。 しかし、朝倉が答えるよりも早く、状況の方が変化していった。 パァン 銃声。 他にも騒々しい物音。 ヴィヴィオはビクンと体を震わせ。 朝倉はカードから拳銃に変化させたクロスミラージュを構えて警戒する。 そして、先程のヴィヴィオの問い掛けに、朝倉に変わってバルディッシュが返答する。 『この校舎の一階において、戦闘が発生している模様!』 「そのようね……」 朝倉は銃声が聞こえた時点で、あらかた検討がついていたようである。 だが、次の出来事まで検討がついていたであろうか? ――※※※ーーー!!―― 「アスカお姉ちゃん!?」 「アスカってあなたが言っていた仲間の?」 ヴィヴィオは一瞬、耳を疑ったが、それは間違いなくはぐれてしまった仲間であるアスカの声だった。 言葉の内容がイマイチ聞き取れなかったが、何やら慌てている印象を感じとった。 そうとわかると、ヴィヴィオはすぐに立ち上がり、今いる部屋を出ていこうとする。 「どこへ行くつもりなのヴィヴィオちゃん!」 「アスカお姉ちゃんが戦いに巻き込まれてるのかも! だから、いかなきゃ!」 その台詞には今までになく、力が入っており、ついさっきまでゼロスの雰囲気に怯えていた子供とは思えない勇ましさを朝倉は感じた。 それは置いといても、ヴィヴィオの関係者は助けてやりたい。 殺しあいに乗っている者も、危害が及ぶ前に倒しておきたい。 そう考えたから、朝倉もヴィヴィオと同じように戦闘が発生している一階へと向かう事にした。 「私もついて行く。 殺しあいに乗った人間との戦いはこの私に任せて」 「うん、わかった。 それじゃあ早く行こう!」 意見を承諾したヴィヴィオは急かすように朝倉に言うと、先に教室を出た。 一方の朝倉は、教室を出る前に時計を見る。 あの現象から一時間近く気絶していたらしい、殺しあいに乗った者に発見されなかった事は一番の僥倖だ。 次に、チラリとパソコンを見る。 パソコンに写っていたSOSのマークはもう消えていた。 あのマークの意味や、スグルとゼロスの行方が気になったが、それを調べるのは殺しあいに乗った者を撃退してからでも遅くない。 そう思った朝倉は視線をパソコンから外し、教室を後にした。 それから二人は駆け足で一階に向かう。 (それにしても……) ふと、朝倉は思う。 (声に殺気のようなものが混じってたのは気のせいかしら?) --- 一方、ゲンキはアスカから逃げる途中で一階の適当に入った教室の窓を開け、そこから校舎を出てアスカから離れようとした。 キョンの妹のディパックから異星人の乗り物・KRR-SPを急いで取り出し、操縦は自分で、後ろには彼女を乗せて、逃げる準備を整える。 エンジンをかける。 そのついでに彼女の顔を見る。 「うぅ……ゲンキ君、顔が……いたいよぅ……」 「『 』……!!」 彼女の顔にできた傷は実に生々しいものだった。 傷口から赤い血がダラダラと流れ続け、未だに止まる気配がない。 相当深く刻まれた傷のようだ。 しかも、彼女はただの小学生の女の子。 普通に生きてればこんな傷は負わなかっただろうに、ひょっとしたら一生消えないかもしれない顔傷を負わされてしまった。 「可哀相に……ごめんよ『 』。 俺、君を守るって言ったのに……」 ゲンキは自分の不甲斐なさと、悲しさで泣きたい衝動に駆られる。 今はろくに武器も体力もないため、銃を持ったアスカ相手に戦っても、彼女を守りきる自信がない、故に逃げる事を選んだ自分が情けなく思えた。 本来はポジティブで元気な少年は、この時ばかりはネガティブで落ち込んでいた。 「ゲンキ君の……せいじゃないよ」 『むしろゲンキ殿は頑張ってるでありますよ』 『おまえがあの時、咄嗟の判断で妹を守らなければ、妹は首の動脈を斬られて死んでいただろう』 『だから気負う必要はないですぅ』 「……ありがとうみんな」 しかしキョンの妹とナビたちは、ゲンキに感謝をし、励ましてくれた。 そしてゲンキは彼女たちのためにも、今は落ち込んでいる場合じゃないと自覚する。 エンジンはかかった。 操作はキョンの妹が動かしていた時を覚えているため問題ない。 ちなみに校舎に残っているかもしれないゼロスの事が気になるが、掲示板の件があるし、また実力が掲示板の通りならかなりの実力者のハズ。 生存については信じるしかないと、ゲンキは思った。 校舎の3階で起こった事も気になるが、今はキョンの妹の命を守るのが先決だ。 とにかく、今は逃げるに限る。 そして二人を載せたKRR-SPは発進し、早く学校から離脱しようと可能な限りスピードを上げて進んでいた時だった。 「逃がさないって言ってるでしょ!!」 そこに、二人を追ってきたアスカが、ゲンキたちが外へ出るために開けた教室の窓から、逃げる二人に目掛けて発砲する。 パァン ガキンッ 銃弾はゲンキにもキョンの妹にも当たらなかったが、その代わり乗っていたKRR-SPに被弾。 風穴を開けられたKRR-SPがスパークを放つ。 そして突然の急停止、弾丸を受けてKRR-SPは故障したようだ。 さらにKRR-SPの急停止による反動により、二人は投げ出される事になる。 「うわああああああ!!」 「きゃああああああ!!」 投げだされた二人は宙を舞い、ほんのしばらくして別々の位置の地面に激突した。 「痛ぇ……!」 「うぅ……」 落下時のダメージで、二人共すぐに起き上がる事ができなかった。 そんなことには構わず、アスカが迫り、そして・・ 「鬼ごっこは終わりよ」 「あ……あぁ……!」 倒れているキョンの妹の喉元に右手のナイフが突き立てられる。 「『 』!! やめろ!!」 離れた位置に落ちたゲンキは、キョンの妹の危険を察知して即座に起き上がるが、アスカがそれを許さないように左手の銃を向ける。 「動かない方が良いわよ。 こいつの首をかっ斬るか、あんたに鉛弾をぶち込むから」 「クソッ……!」 ゲンキの逃げる目論みは失敗し、アスカに自分とキョンの妹の命が握られてることがたまらなく悔しかった。 キョンの妹は先程自分を顔えぐったナイフが、今度は自分の喉元を狙ってる事に、恐怖し震えていた。 ナビが必死でアスカの暴挙を言葉で止めようとする。 『ア、アスカ殿、やめるであります!! ここで殺人をしたら戻れなくなるであります、人間的に!』 「煩いわよ、化け物は殺さなきゃならないのよ!!」 ナビたちの言葉もアスカを苛立たせるしか効果はなく、アスカを余計に激昂させた。 だが、アスカも無線ごし(と思っている)の化け物たちに聞きたい事があった。 「それにタママだっけ!? アンタ加持さんをどこにやったのよ!! 無事なんでしょうねぇ?」 『タママは僕のオリジナルですけど、加持さんなんて会ってないし僕は知らないですぅ』 「すっとぼけんじゃないわよ!! コイツを殺してやっても良いのよ!?」 『だから、僕たちは本当に加持さんなんて知らないですってば!!』 タママは加持の居所を知っていると踏んだアスカは聞き出そうとしたが、期待した返答は返ってこず、余計に青筋を立てて怒号する。 キョンの妹はただアスカに脅えるばかり。 もはや、ケロロやタママたちと話しても意味がないと思ったアスカはとうとう、キョンの妹を殺そうとする。 「もう良い、コイツを殺すわ」 「ヒィッ!」 「やめろぉ!!」 『やめるでありまーす!!』 キョンの妹はもうすぐ訪れる死の恐怖に顔を引きつらせる。 ゲンキとナビはアスカを止めようとするが、言葉だけではどうにもならない。 そこへ、別の者が新たに介入してきた。 「やめて! アスカお姉ちゃん!!」 少女の声がした。 その声にアスカは確かに反応し、一時的に殺す作業をやめて、声がした方向--ゲンキの後方へと視線を向ける。 ゲンキもまた後ろを、つまり校舎側を振り向くと、そこには一人の少女とメイド服を着た女性がいた。 「ヴィヴィオ……」 アスカは探し求めていた少女の姿を見つけて、思わず声を漏らす。 中編へ
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Scars of the War(中編) ◆igHRJuEN0s まず、ヴィヴィオと朝倉はゲンキの側に駆け寄る。 そして朝倉がヴィヴィオとゲンキの前に立ち、拳銃・クロスミラージュを構える。 その後ろでヴィヴィオはゲンキをゲンキを助け起こす。 朝倉はアスカにナイフを突き立てられている少女を発見する。 (あれは……キョン君の妹?) 直接の面識こそないが、一度消滅する前のバックアップとしての私に長門から送られた情報の中には、キョンの妹の記録はある。 顔面に真新しい横一線の刀傷がつけられているが、容姿的にはまず間違いない。 朝倉としては、古泉やみくるほどではないが、可能な限り保護したかった。 長門に反逆の意を持っているため、見殺しにはしたくないのだ。 そしてヴィヴィオに助け起こされたゲンキは、助けにきたと思われる二人に忠告する。 「気をつけるんだ! その人は殺しあいに乗ってる!」 「そんな……!?」 ヴィヴィオは信じられないという表情でアスカを見る。 当初は殺しあいに乗った者の手からアスカを助けるつもりで朝倉と共にやってきたつもりが、実際はアスカが人を襲っていたという事実にヴィヴィオは驚愕していた。 そのヴィヴィオに薄ら笑いを浮かべたアスカの方から声をかけてきた。 「やっと見つけたわ。 捜したのよヴィヴィオぉ?」 ヴィヴィオはアスカの笑顔から滲み出る怖い感覚に、震えながらも言葉を返す。 「アスカお姉ちゃん……どうしてそんなことをしているの!?」 「決まってるじゃない、化け物を殺すのよ」 「化け物って……?」 ヴィヴィオは一度、名前も知らぬゲンキとキョンの妹の顔を見て、本当に二人は化け物なのかと、一瞬疑った。 しかし、それは朝倉の一言により一蹴される。 「それはないわ。 二人とも『ただの人間』よ」 「そんな……じゃあなんで?」 アスカの行為に疑問を持ったヴィヴィオに、対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェイスなりの答えを朝倉は出した。 「あの子は、乱心してるみたいね。 だから言ってることを真に受けちゃダメ」 「私が乱心してるですって!? 私は冷静よ! 真っ当な考えで動いてるのよ!!」 自分がおかしいという事をアスカは断固として認めず、朝倉に言葉で噛み付く。 だが、今のアスカの様子は、朝倉で無くてもおかしいと思ったであろう。 「そんなことよりも……」 朝倉は余裕の表情でクロスミラージュを構えつつ、アスカに警告する。 「早くその子を離しなさい。 さもないとこの銃が火を噴くわよ」 「そんなオモチャで脅しが効くと……」 ガスッ クロスミラージュを玩具だと思っていたアスカに、朝倉はこれが玩具ではないと教えるために、彼女の足音に脅しの一発を撃ち込む。 レーザー、もしくはビームにも見える魔力の銃弾は、アスカの足元に一つの穴を作る。 「……ッ?」 「今のでこれがオモチャじゃないとわかったでしょ?」 朝倉は余裕を崩ず、にこやかな表情を向け。 アスカは驚きつつも、敵意と戦意を濁らせないように睨みつける。 「涼子お姉ちゃん!」 「(大丈夫よ、『今はまだ』非殺傷設定だから、当てても死ぬ事はないわ。 当たれば物凄く痛いだろうけど)」 対峙しているとはいえ、元は仲間だったアスカに弾を撃ち込んだ朝倉にヴィヴィオを止めようとした。 だが、朝倉はクロスミラージュがまだ非殺傷設定である事を小声で教えて宥める。 「さぁ、降参しなさい。 これが最後通告よ?」 朝倉はついに最後の警告をする、降参しなければ今度こそ撃つという意味である。 アスカは焦りながらも思考をする。 (私が屈する? 化け物の仲間たちに? ヴィヴィオを目の前にして……? いや、そんなの嫌! なめられてたまるか! 私は化け物たちに、負けてらんないのよ!!) 元よりプライドの高いアスカは、負けを認めない。 そして策を思いつく。 (……そうだ、良いことを思いついた) アスカはそれをすぐに実行に移す。 ゲンキ、朝倉、ヴィヴィオの三人を正面に捉え、キョンの妹の首にナイフを向けたまま立ち上がらせ、自分は彼女を腕で拘束し盾にして後ろにつく。 「これで撃てる?」 アスカは勝ち誇ったように言った。 そう、アスカはキョンの妹を人質に取ったのだ。 「……フッ、やり方がえげつないわね」 「それ以上、アンタは口を開くな。 この子を殺すわよ?」 朝倉の言葉に苛立ったのか、キョンの妹の喉元をナイフの刃先で少しだけ傷つける。 大事な器官や血管こそ傷つけられてないが、少し血は流れ、チクリとして痛みは少女を恐慌させ、叫ばせるのには十分だった。 「助けてぇーーー!! ゲンキくぅーーーん!!」 「『 』ッ!! この卑怯者ぉー!!」 「ほらほら、アンタも近づいたら殺すわよ!」 アスカへの怒りと敵意が爆発的に高まるゲンキ。 しかし何もできない、してはいけない。 近づくだけで仲間が殺されてしまうかもしれないからである。 朝倉も、表面上は余裕の表情を取りつくろっていたが、内心は焦っていた。 自分の腕なら、たった数mしか離れていないアスカに当てる自信はある。 しかし、盾があれば話は別だ。 アスカはぴったりとキョンの妹を盾にしているので、撃てば確実にキョンの妹に当たる。 クロスミラージュを『非殺傷設定』にしてあるので、キョンの妹に当てても死ぬことはない。 それでキョンの妹ごとアスカを撃つ事もできるが、その拍子に拳銃やナイフがキョンの妹の命を絶ってしまえば本末転倒だ。 故に動けない。 朝倉は心の中で舌打ちをしていた。 ヴィヴィオはかつての仲間の蛮行に、涙腺に涙を溜める。 そこへ嫌らしい笑顔をしたアスカが、三人へ提案する。 「こっちの要求を飲んでくれれば、こいつを助けてやっても良いわ」 「要求はなんだ! 言え!」 ゲンキは怒鳴りながら、とっとと要求を聞こうとする。 そして、アスカは交換条件を提示する。 「人質交換よ。 ヴィヴィオを差し出せば、代わりにコイツを解放してやるわ」 「なんだと!?」 「え……」 「まったく、ふざけた事を」 『なんですと!?』 ゲンキも、ヴィヴィオも、朝倉も、ナビも、アスカの要求に耳を疑った。 --- 我ながら、良い策だと思う。 1対4じゃ明らかに不利、だから人質作戦をとったわ。 アイツら化け物には互いへの『仲間意識』は持っている。 まぁ、あくまで表面的なもので、本当は薄っぺらいんだろうけど。 きっとヴィヴィオは仲間意識を示すために、私の要求を飲んで前に出てくるでしょうね。 そして、憎いヴィヴィオを銃で殺す……だけど人質は返さない。 人質がいる限り奴らはどちらにせよ襲ってこれない。 『 』を盾にしながらどこかへ逃げうせるわ。 そして逃げた先で『 』を殺す。 まぁ、ヴィヴィオが仲間を見捨ててメイド服の女の後ろからでてこなくも、盾にして逃げて殺すけど。 メイド服の女は武器を持っているけど、『 』を盾にすれば、撃つに撃てないハズ。 ゲンキは武器を持ってないから、まず無害ね。 できれば殺したいけど、無理はしない。 こっちのリボルバー拳銃はあと4発しか入ってないし、無茶をして私が死ねば誰が加持さんを助けるの? それでも最低一匹は殺せる計算だし、それで長門から加持さんの居場所を聞き出して助けにいくことができる! きっと加持さんは褒めてくれるわよね? ……卑怯? 化け物相手にそんなこと言ってられないわ! 正義のためよ! --- 彼女は胸中で、再び自己陶酔に浸っていた。 残念ながら彼女は『自分は正しい・冷静だ』と思いこんでいるだけである。 そもそも、今の彼女には自分の考えの間違いに気づけない・認められないのだから…… --- アスカの要求はつまり、キョンの妹の代わりにヴィヴィオが死ね、という意味だった。 口ではそこまで言わなくとも、銃口が朝倉の後ろにいるヴィヴィオを捉えているので、なんとなくわかる。 まず、朝倉が返答する。 「そんな不当な要求、飲めるわけないでしょ? あなたが妹ちゃんを返す保証はどこにもないしね」 「そんな生意気な口を聞いて良いと思ってるの? 殺すわよ?」 「い、いやぁぁぁ!」 もはや朝倉の言葉は、アスカの感情を煽るだけにしかならない。 『(そうだ! 妹殿は混乱してるからパワードスーツの存在を忘れているんだ。 それを妹殿に教えれば……)』 キョンの妹が、ジャージや短パンの下に着ているスクール水着。 しかしその正体は、地球人専用専守防衛型強化服、いわゆるパワードスーツである。 起動すれば、キョンの妹はアスカの手から自力で脱出できると考えた。 今、パニックになっているキョンの妹は、そこまで気がまわってないようなので、ケロロ・ナビはキョンの妹へ、パワードスーツを起動する事を教えようとする。 『妹ど……』 「アンタの声を聞いていると虫酸が走るのよ!! 喋るな!!」 『ゲ、ゲロッ!?』 ケロロ・ナビの声を聞いた瞬間、アスカは強く怒鳴りつける。 これ以上喋ると、キョンの妹が殺されかねないと思ったナビは、口は無いが、口を閉じざるおえなかった。 ナビたちは思考する。 『(このままでは妹殿にパワードスーツが起動する事を教えられないであります!)』 『(このクソアマァ! こっちだってオメーの声は聞きたくねぇんですよ!)』 憤る二つのナビに、ギロロ・ナビが忠告する。 『(待て二人とも! このままパワードスーツの事を教えても、それを知ったアスカが、起動前に『 』を殺すとだろう)』 『(なッ……!? じゃあ、迂闊に妹殿に教えられないということでありますか?)』 『(ただでもパニック状態なんですよ!? 自力で思い出せるわけないですぅ!!)』 そこへさらに、クルル・ナビが付け足して状況を説明する。 『(それだけじゃねぇ。 ただ変身するだけじゃダメだ。 パワードスーツでも首筋の部分は守りきれてねぇ。 アスカの注意がどっかに逸れてなきゃ、ナイフでブスリだ)』 ナビたちはこの状態に絶望する。 『(それじゃ、我輩たちはどーすれば良いでありますかー!?)』 『(どうする事もできん……まさに八方塞がりだ)』 『(『 』がパワードスーツを起動できる事に気づき、アスカが注意を一瞬でも逸らしたその隙を突かなきゃなんねぇな)』 『(そんなぁ……)』 アスカに口を開く事を禁じられたナビたちは、何もできないまま黙るしかなかった。 「やめて! それなら私が……」 人が自分のために死ぬのは見たくなかった。 それでヴィヴィオは要求通り、アスカの前に行こうとした。 しかし、朝倉により引き止められ、朝倉の背後に戻される。 「ダメよ、ヴィヴィオちゃん。 あなたが行っても向こうが『 』ちゃんを言葉通り解放するとは限らないわ。 ただ、出ていくだけじゃ向こうの思う坪よ」 「で、でも……!」 朝倉の言う事は論理的でもっともだったが、ヴィヴィオはそれを感情の方が許せなかった。 逆に朝倉のせいで、事が思ったように運ばないアスカは、ヴィヴィオたちを急かす。 「もう刺しちゃおっかしら」 「ダメぇーッ!!」 「じゃあ、さっさとヴィヴィオを渡しなさいよ!」 ヴィヴィオが飛び出そうとするが、朝倉が引き止め続ける。 それでも朝倉はクロスミラージュを降ろさない。 どこかにつけいる隙があるハズだ。 この状況を変えるにはそれを捜すしかない。 逆につけいられる隙を突かれればこちらの負けだ。 それをアスカに見せてはいけない。 朝倉はチャンスを待ち望み、アスカにチャンスを与えないようにしていた。 一方、アスカに命を握られているキョンの妹を見つめるゲンキの心は…… --- 再び時間は遡る。 小砂こと小泉太湖が学校に到着したのは、アスカよりかなり後だった。 アプトムに言うことが本当ならば、アスカの移動先は方角的にここにぶち当たるハズだと思い、学校の敷地前まで着いた。 そして小砂が目撃したのは、アスカに関して考えうる事態の中でも最悪のものだった―― まだ距離はかなり開いてて、顔はよく見えないけど、あの赤い髪をしたやつは間違いなくアスカね。 そんで女の子を人質に取っているみたい……何やってんのよアイツ!? しかも、アスカが銃を向けている先にはガキンチョと、変な服を着た女、金髪の小さな女の子の三人…… って、えぇ!? 金髪の女の子ってまさかヴィヴィオ!? これで右目と左目の色が違ったら師匠の言っていた特徴と一致するけど……距離があるせいか良く見えない。 いや、もうアレは暫定でヴィヴィオでいいや。 それはともかく、アスカが女の子を人質にとって、ガキンチョと変な女と暫定ヴィヴィオに銃を向けているのは事実。 何か言ってるみたいだが、ここからでは良く聞こえない。 だけど、もしもあの銃から放たれた弾丸がヴィヴィオに当たって、絶命させたとしたら? ※想像中 「ししょー、すいませ~ん。 ヴィヴィオちゃんはアスカに殺されちゃいましたー」 「放送でも聞いたよ。 小砂ちゃんのやくたたずー! 死んじゃえバインダー」 ず が ん ! 「うぎゃー。 ごめんなさい許してください、ししょー」 「ダ~メ。 ヴィヴィオやフェイトちゃんを生き返すために殺しあいに乗るから、やくたたずはとっとと死んでいってね!」 「そんなー、ひどいー」 「後でアスカも天国に送るからサヨナラ小砂ちゃん。 はらわたをぶちまけろー」 「うう、こんなところでしんじゃうなんてー、凄腕魔法少女か凄腕美人になりたかったーがくっ」 【こすな@砂ぼうず しぼー】 【マジカル小砂たん ☆打ち切り☆】 ※想像終わり ヤバイ。 それだけは絶対にヤバイ! それだけは絶対に避けないとヤバイ!! それをアスカは今やろうとしているんだ。 そんなことしたら師匠がトンでもないことになるのがわかんないの!? ……もういい、師匠には悪いけど、アイツを殺しておこう。 狙いはヴィヴィオかどうか知らんけど、どちらにせよ人質を取るような暴挙に出てるんだ。 これ以上、騒動を起こされないようにここで始末する。 それに、ヴィヴィオのピンチを救ったのなら師匠も文句は言えないでしょ。 ひょっとしたら、その見返りに魔法を使えるようにしてくれるかも、ヒッヒッヒ。 ……とは考えるものの、どうしようか? 私がミニウージーを持って英雄気取りで突撃しても、アスカが何するかわからないしな~ それで激昂したアスカがヴィヴィオを殺しちゃったら話にならないし。 一番良いのは、やっぱりアスカに気づかれないように、狙撃することかな? 今の私の装備や技量・状況から考えると、それぐらいが良いかな。 だけどこのミニウージーは短機関銃、狙撃よりも弾をバラ撒く事に特化したマシンガン。 少なくとも、射程だけなら50mぐらいあれば十分だけど、精度の関係でピンポイントでは狙えないし、人質を巻き込んでしまう。 誤って人質を撃っちゃったら、ヴィヴィオたちや師匠に良い顔されないだろう。 ヴィヴィオが殺されるよりマシだが、それでは師匠が機嫌をそこねて魔法を教えてくれないかも。 どうする? う~ん、う~ん…… ――そこで小砂は閃いた!―― よし、こうしよう! 何も、人質を無理に助ける必要はない。 要はアスカを殺した上でヴィヴィオを助けた既成事実を作れば良いんだ! 私がアスカを撃てるパターンは三つ。 A、ヴィヴィオたちがなんとかして人質になった女の子を助けてくれる。 人質を手元から失ったアスカを私が射殺。 B、ヴィヴィオたちの努力虚しく、残念ながら人質は助からなかった。 人質を殺したアスカを私が射殺。 C、ヴィヴィオが殺される!! 仕方ないから人質ごとアスカを射殺。 ……何が言いたいかと言うと、Aはヴィヴィオたちが自力で問題を解決した場合。 その場合はジャストタイミングで助けに着たと言うことができる。 Bは人質が死んでしまったパターン。 この場合は助けにくるのが遅かったと言い訳できる。 とにかく、私は『ヴィヴィオ』を助けにきた『事実』を作れば良い! とにかく私はアスカの隙を探して殺すだけ。 人質の女の子には気の毒だけど、生きてても死んでてもどっちでも良い。 むしろ私の見立てではBが現実的かな? Aは少し希望的観測すぎる。 ……できればCは避けたいが、コレは最悪の事態を避けるための最終手段かな? とりあえずヴィヴィオは助かる。 ライフルさえ持っていれば、アスカの可愛い(憎たらしい)顔をピンポイントて、吹っ飛ばすだけで済むんだけど、持って無い以上仕方がない。 この作戦でいく。 さて、行動方針は決まった。 次は狙撃に適した場所を探し、後は場の流れに応じて作戦通りにアスカを殺すだけだ。 よし、行こう。 ……師匠なら誰も殺す必要が無い、もっと良い術を考えられるんだろうけど、私は師匠のように魔法を使えるわけじゃない。 仕方ないよね? ――こうして、人知れず小砂もこの騒ぎに介入することになる…… --- 小砂は他の誰にも気づかれないようにコソコソと校舎の敷地に入り、グラウンドの周りにある手頃な木や夕日で伸びた影を見つけて、そこを伝いながら騒ぎの中心へと近づいていく。 コソコソする分には、小砂が先生と呼ぶ砂ぼうずとの仕事をしてきた経験と慣れがある。 結果誰にも気づかれることなく、アスカたちの側面についた。 ちなみに真後ろからではヴィヴィオたちまで射線に入り、流れ弾が飛ぶ可能性があるので側面にしたのだ。 また、アスカ以外の人間に気づかれても、意図が読めない者の視線が小砂を追い、その視線にアスカが気づいても作戦はオジャンになるため誰にも気づかれるわけにはいかなかった。 これがコソコソしなければならない理由である。 その足音取りで近づけたのは目標のアスカからおよそ30m弱。 射程範囲とはいえ、短機関銃で狙撃するにはまだ遠いが、これ以上隠れられるものがないため、これが限界である。 とりあえず適当な木の影で小砂は狙撃する準備を始める。 (スコープも無いし、ライフルとは勝手が違うから気をつけないとな~……ん?) そこで小砂は、少年・ゲンキが動き出し、何か言っているのが見えた。 さすがにここまでくれば声は聞こえるだろうと思い、耳を傾ける。 そして状況は動き出す。 --- ゲンキは朝倉の前に出ていた。 アスカは銃口を向け、警告する。 「近づくなって言ったでしょ!?」 「待ってくれ! どうしてもあんたに聞きたいことがあるんだ!」 ゲンキはアスカと向き合い、銃が向けられようとも億さずに会話を交わそうとする。 朝倉はそんな危険を侵すゲンキに声をかける。 「危ないわよ、私の後ろに」 「ちょっと黙っててくれ」 ゲンキは朝倉の言葉を拒否して返した。 そしてゲンキは自分の中のアスカへの疑問を口にした。 「あんたは、なんで化け物を殺そうとするんだ?」 「それを知ってどうするっていうの?」 「……ただ、俺は知りたいんだよ。 何があって化け物を殺すのかを……」 アスカは質問に答える。 「良いわ、教えてやるわよ。 なんでアンタたちが憎いかをね!」 ゲンキは内心で、安堵のため息を吐く。 キョンの妹を人質に捕られたゲンキの取った手段は『話しあい』だった。 まず話し合いのでの解決は、アスカが暴挙を働く理由を知らなければならない。 その理由を暴けば、血を流さずに、事を解決できるんじゃないかと思い、ゲンキは話し合いによる解決を考えた。 そして今、話の入口に入る。 「私はね、ここにきて怪物に襲われたわ、それで沢山の物を失ったり奪われたりしたわ。 指も失ったし、加持さんや副指令は化け物に操られてしまってるの。 化け物をほうっておいたら、加持さんのような『人間』に被害が及ぶのよ。 だから一匹残らず私が駆除するの!」 ヴィヴィオは思う。 おそらく青い肌の人に襲われ逸れてしまった後に、化け物……きっとモッチーとは違う悪い化け物に襲われていたんだと。 そして、悪い化け物に大切な人を襲われてしまったんだと。 ……だが、ここで疑問が浮かぶ。 次はヴィヴィオが質問をした。 「それじゃあ、どうして人間であるこの人たちを襲おうとしたの?」 ヴィヴィオの質問を答える時には、アスカは嫌悪感を抱きながら言い放った。 「化け物はね、人間に擬態する奴もいるのよ。 草壁サツキみたいにね!」 「あなた草壁サツキにあったの!?」 朝倉は驚く、殺しあいの謎をつき止める鍵になるであろう大切な情報源であり、優先保護対象の一人である草壁タツヲの血縁者らしき人物。 次に朝倉が質問する。 「草壁サツキはどうしたの? どこにいるの?」 「ああ、アレは殺したわよ」 「なんですって……?」 「まぁ副指令に襲い掛かったんだし、主催者の手先だったんだから殺して当然よね」 草壁サツキが主催者が送り込んだ手先である可能性は確かに考えられた。 しかし、乱心気味のアスカが言った事なので、そこは鵜呑みにしなかった。 だが、朝倉はサツキを殺した話は本当だと思えた。 そこは放送等で偽りようがないからである。 一方、影の方から小砂は舌打ちをしていた。 (やっぱりサツキを殺したのはアイツだったか! 追ってきて正解だったよ。 ……てゆうか主催者の手先だろうと貴重な情報源じゃん! それを殺しやがって、あの馬鹿が!) 視点は小砂のいる隅から、グランドに戻る。 ヴィヴィオはアスカがサツキを殺した事に対して眉をハの字にして、歎く。 「殺すなんて酷いよ、どうしてそんなことを……」 「うっさいわよ!! 化け物は黙ってなさい!! それに、実は無害を装ってハルヒを殺したのはアンタじゃないの?」 ハルヒを殺した罪を問われたヴィヴィオは否定し、事実を述べようとする。 「違う、ハルヒお姉ちゃんを殺したのは――」 「まぁ、ハルヒもモッチーみたいな化け物と仲良くするような変人だったしね。 まともな神経もってなさそうだから早死にするのも仕方ないか」 「えっ……」 事実を述べる前に遮られた。 そんなことよりも、アスカの口調は仲間だったハズのハルヒをバカにし、モッチーをなんでもないもののように言った。 それによりヴィヴィオは、アスカに対して歎きとは違う怒りの感情が芽生えていた。 人に対してここまで強い嫌悪感を覚えたのは、おそらくスカリエッティを含めて二人目である。 ゲンキもまた、アスカの話しの中に出てきたハルヒとモッチーという名前に気づく。 モッチーは自分の仲間、ハルヒは『 』の知人である。 それを侮辱するような言い方をするアスカが許せなかった。 思わず、抑え切れない分の感情をゲンキは言葉として吐き出す。 「モッチーは……俺の仲間だったんだ! ハルヒって人は『 』の知り合いだったんだよ!」 「あら? 仲間だったの? それじゃあ悔しいわよね~?」 アスカは怒り悔やむゲンキが愉快だったのか、おちょくるように言った。 人の感情を馬鹿にするアスカに、ゲンキが高ぶる怒りを抑えられず、アスカを殴りたいと思った。 アスカの口ぶりにヴィヴィオもゲンキと同じ感情を抱く。 「アンタって人は!」 「……」 それを朝倉が察し、小声で宥める。 「(気持ちはわかるわ……、でも今は抑えて)」 「……くそっ」 「……」 ここでアスカを殴りかかろうとでもすればキョンの妹の命が危ない。 それを理解している二人は朝倉の言う通りに気持ちを抑えて、朝倉の後ろから動かなかった。 しかし、当然ハラワタは煮え繰り返る。 二人とは違い、比較的冷静である朝倉は草壁サツキの事については置いといて、アスカの言ったことを分析する。 化け物=人間に擬態するものがいる、と彼女は言った。 ならば、彼女はどうやって化け物と人間を見分けているのか? 「じゃあ、あなたがこの子たちを化け物だと思った根拠は?」 「簡単よ、こいつらがカエルの化け物の仲間だからよ?」 「は? それにはどうやって気づいたの?」 「無線よ! コイツらは化け物と無線を取り合っていたのよ!」 無線という言葉に、しばらく無言だったナビたちが反応する。 『無線? ひょっとしてアスカ殿は我々の声を無線機の声か何かと誤解したのでありますか?』 「ちょっと! 喋るなと言ったハズよ?」 『まぁまぁまぁまぁ!! 落ち着いてきいてほしいでありますよアスカ殿』 アスカはキョンの妹のどこからか聞こえる声が、無線機でない事の主張を聞かされる。 ナビたちは主張する。 『アスカ殿、良く効いて欲しいであります』 『俺達は地球人専用専守防衛型強化服に備えられた、喋る人口知能なんだ』 『声や性格が似通っているのは、元にした人つまりはオリジナルの人格を参考にしたためなんですぅ』 『つまり俺達は本人じゃねーってことだ。 オリジナルが殺しあいに乗ってようと、俺達には関係ねぇ』 『さらにゲンキ殿と妹殿の二人は、殺しあいに乗ってないどころか、未だに我輩たちのオリジナルにすらあってないであります。 例え、オリジナルが殺しあいに乗っていようと断じて二人は関係ないのであります。 その辺を理解してくだされば、ここは武器を納めて欲しいのであります』「……」 主張聞いているアスカは無言だった。 もしかしたら、わかってくれたのかもしれない。 ナビたちはそれを期待していた。 「フ、フフフフフ……」 アスカの嘲笑。 ナビたちの期待が裏切られる。 嘲笑はすぐに怒声に変わった。 「バカ言ってんじゃないわよ!! 私はそんなことに騙されたりはしないわよ。 無線じゃないなんて嘘を見抜けないと思ってたの?」 『ゲロォーーー!?』 『まるっきり信じちゃいないというのか?』 『このアマ……!』 『コイツはヤベーぜ』 アスカはナビたちの言葉に聞く耳を持ってなかったようである。 怒鳴りつけてくるアスカの声はキョンの妹の耳をビリビリと痛ませ、脅えを促進させる。 (話しもまともに聞く気はない、か……) ここまでの問答で朝倉は、アスカが何を思い・どんな人間なのかが、あと少しで見えてくる気がした。 朝倉としてはアスカという人間像を知るためのあと一手が欲しかった。 「ところで聞くけど、ヴィヴィオちゃんを狙う根拠は?」 「簡単よ、魔法なんて得体の知れないものを使ってるからよ!」 朝倉も、ヴィヴィオも、小砂も耳を疑った。 朝倉は首を傾げつつ、呆れるように言った。 「それだけ?」 「何がそれだけよ! 十分気持ちが悪いじゃない!!」 ――小砂はアスカの身勝手さに額に青筋を立てている。 (テメーの傷を治してやったのは師匠の魔法のおかげだろうが!! テメーには貸しと借りの念は考えないのかよ! あの欲深い先生でもそこは弁えるよ!?) --- 朝倉の、アスカに対する分析は終了した。 アスカは狂ってるように見えて冷静であり、独自の倫理感と正義感を持って行動しているだけなのだ。 問題なのは彼女の倫理と正義はあまりにも、独りよがりで自分勝手であること。 彼女にとっての『化け物』とは、姿形はもちろん、人間と少しでも掛け離れた者は化け物扱いなのだ。 それどころか、化け物と繋がりのある者すら全て敵なのである。 相手が『化け物』なら、その者の善悪はどうでも良く、ただ殺すのだ。 彼女はプライドが高く、自分の正義が絶対だと信じているため、自分の意と違った意見は正しかろうと聞こうとしない。 自分の間違いや矛盾は認めようとしない。 結論。 アスカはただのエゴの強い・我が儘な子供である。 故に扱いづらい。 説得しようものなら、アレやコレや理屈をこじつけて、自分の中で物事を都合の良いようにしてしまうタイプなのだから。 よりによって厄介なのを相手にしてしまった……と朝倉は頭を痛める。 --- 「ふぅ、あらかた話したらスッキリしたわ」 今まで話す相手もなかったので、自分の思ってる事を吐き出せたアスカは、少しだけストレスのはけ口になったようだ。 逆にゲンキとヴィヴィオが、怒りを覚えていることなど毛ほども構いもせず。 「それじゃあ、そろそろ決めてもらおうかしら? ヴィヴィオを引き渡すのか、否かを」 トークタイムは終了と言わんばかりに、キョンの妹の首に向けられたナイフに再び力が込もる。 「ゲンキ君……助けてぇ」 キョンの妹が手を伸ばして助けを求める。 「チッ……」 状況を変えたいが変えられない、アスカは変えさせてくれない人物だと言うことを分析からわかった。 朝倉はとうとう舌打ちをする。 人質の少女を助けたいヴィヴィオはアスカに懇願する。 「もうバカな事はやめて、アスカお姉ちゃん!!」 「うるさいのよ! アンタが私に殺されればそれで良いのよ! そうすれば化け物を三匹殺した事になって私は加持さんを助けにいけるんだから!」 三匹、いや、三人殺せば加持を助けに行ける……その言葉で思いあたるものは一つしかない。 ゲンキは聞き間違いでないかと思い、アスカに聞き出す。 「今……なんて言った?」 「だから三匹殺せば! 長門が行方のわからない加持さんの居場所を教えてくれるのよ」 これはつまり、先の放送で主催者が付け足したルール「三人殺せば、探したい一人の居場所を教える」というものだ。 アスカはこのルールに従い、加持を探すつもりなのだろう。 だが、それに貯まっていた怒りが爆発した少年がいた。 「ふざけんなッ!!」 腹から出した怒号はとても大きかった。 その調子を保ったまま、ゲンキは想いを吐き出しまくる。 「アンタが悪いモンスターに襲われて、だから化け物やそれっぽく見える人を襲うのは十分にわかったよ! それは恐がってるからなんだろ!?」 「私が化け物を恐れてる……? アタシがそんな臆病者なわけないでしょうがッー!!」 アスカはゲンキの言葉を多大な怒りを込めて否定する。 画して、ゲンキとアスカの言葉と言葉のドッチボールが始まった。 「だけどアンタは、イイモンやワルモン、良い奴とか悪い奴とか見境なしに襲いかかって!!」 「化け物は死んでも良いのよ!」 「そんな理屈で殺される側の気持ちは考えないのかよ!! 恐いから、気に入らないから殺して良いなんて事はあっちゃいけないんだ!!」 ゲンキはまだ子供だ。 そして曲がった事は大嫌いだ。 だからこそ、その言葉に子供らしく単純で、ゲンキらしく純真な怒りを込めていく。 「何より、俺達はこの馬鹿げた殺しあいを止めなきゃいけないのに…… それをアンタは促してんじゃないか!!」 「アタシは化け物しか殺さないわ!」 「そうじゃない! いくら大切な人を助けたいためだからって、誰かを殺して良いわけがないだろ!! 例えそれが悪い奴でも!!」 ――ゲンキはやがて、アスカが何かに似ているのは感じた。 「そうだ……、俺が一番許せないのは……」 ――それはゲンキにとって、ある意味で身近であり、嫌悪すべきもの。 「誰かを馬鹿にしたり、傷つけたり、殺したりすることに、アンタは心を痛めちゃいない!」 ――死んだハルヒやモッチーを侮辱しても、『 』を傷つけても、サツキを殺しても、彼女は悲しむそぶりすらなかった。 故に似ていた。 ゲンキにとっての『敵』に似ていた。 「そんなアンタは……『ワルモン』と一緒だぁ!!」 ゲンキは言い放った。 悪いモンスター『ワルモン』とアスカが同じであると。 「私が悪者ですって? 違うわ、私は正義のために、人を守るために頑張ってるのよ! そうすれば、加持さんやママが褒めてくれるわ」 アスカはワルモンを「悪者」であると理解し、それを否定し、自らの正義を主張する。 だが、ゲンキはその正義を真っ向から否定する! 「正義や大切な人を、人殺しの言い訳にするな! それに守るっていうのは、褒められるためにやるんじゃないんだよッ!! そんなの独善じゃないかッ!!!」 ありったけの気迫と怒り、それにガッツを加えてアスカに言い放った。 ヴィヴィオはその気迫ゆえに介入できなかった。 だが、ゲンキの想いが耳を通して心に響いてくるのを感じた。 しかし、朝倉と小砂は焦っていた。 (言ってる事は正論よ、でも……) (あわわわわ、アスカがブチ切れたらどーすんの!?) アスカが激昂すれば、何をするかわからない。 人質が殺される事だってある。 ゲンキはそれを感情で自制を忘れてたしまったようだ、と思った。 そして、アスカは。 カチャリッ 「独善なんかじゃない……私は間違ってなんか、ない!!」 口々でぶつぶつ良いながら、撃鉄を引き、銃口をキョンの妹のこめかみに向けようとする。しかし…… 「人質を撃ったら、おまえも逃げられなくなるんじゃないのか?」 アスカの腕の動きがピタリと止まる。 「それに人質を取るなんて卑怯な真似をして、そんな事までして誰かを殺そうとするなんて、アンタが弱いっていう何よりの証拠なんじゃないのか?」 単なる挑発とも、確信をついているとも言える事をゲンキは指摘する。 そしてアスカの腕が怒りで震える。 「私は……化け物なんて怖くない!」 「!」 「いいわ、ヴィヴィオより先にアンタを殺してあげる」 アスカの殺意が、ヴィヴィオよりも人質の少女よりも、己の正義を否定し、臆病者呼ばわりしたゲンキに向いた。 そして銃口を向け、ゲンキが驚くよりも早く引き金を引く。 「死ねーーーッ!!」 アスカとゲンキまでの距離はわずか数m。 いくら運動神経に秀でたゲンキでも銃弾を避けられる距離じゃない。 ヴィヴィオは何もできない。 朝倉は事態そのものは予想していたが、行動が間に合わない。 小砂は、動くべき時ではないと何もしない。 そして、銃声が轟き、放たれた弾丸はゲンキを貫く ――ことはなかった。 「なに……?」 その場にいた、アスカもヴィヴィオも、朝倉も、小砂も、ゲンキも驚いていた。 なぜなら、ゲンキの前には一つの盾が現れ、それがアスカの狂弾を防いだからである。 皆が驚いている中でナビたちの電子音声が響く。 『イージスシステム起動……間に合ったであります』 『危ない所だったな、ふぅ……』 『ヒヤヒヤしたですぅ、心臓に悪いですぅ』 『人口知能である俺達に心臓はねぇけどな、ク~~~クックック』 音声の発信源はアスカの腕の中、つまり人質にとられた少女からである。 少女を見ると、着ていたハズのジャージや短パンはいつの間にか消えうせ、代わりにスクール水着のような格好にあちこち機械をつけたような珍妙な姿になっていた。 この姿を知っているゲンキ以外が、少女の変身に目を疑う。 そして変わったのは姿だけではなく、少女の眼も先程までアスカに脅えていた眼ではなく、戦える意思を持っていた眼だった。 ここから状況は加速する。 盾の出現と少女の変身に呆然とするアスカ。 その隙をついて、少女がもう一つの盾を射出。 アスカが右手に持ち、自分の命を握っていたナイフをその盾で拘束していた腕ごと弾き飛ばす。 落ちたナイフは足元に落ちた。 「しまった!!」 そして少女は自力でアスカの拘束から解放される。 「クソッ!」 右手の痛みに構わず、アスカはすぐに左手の拳銃の撃鉄を引いて撃とうとする。 しかし、少年はそれを許さなかった。 ゲンキはアスカが引き金を引くより早く、全身の神経と筋肉・ありったけのガッツを連動・駆使して、拳銃目掛けて飛び蹴りを放つ。 「うおおおぉりゃあああぁあ!!」 蹴りはクリーンヒットし、拳銃はアスカの手元から離れてあさっての方向へと飛んでいき、弧を描いて、やがて地面に落ちた。 「何ぃ!?」 これにてアスカはナイフも銃も失う。 腕の痛みでたたらを踏んだアスカに、次に動いた朝倉がクロスミラージュの銃口を向ける。 「残念ね、あなたの負けよ」 「……チックショウ」 突然のハプニングにより立場は逆転した。 朝倉はアスカへ、王手を宣言する。 勝ち誇ったような朝倉の顔が、アスカには憎くくてたまらなかったが、もう何もできなかった。 恨めしい顔をするのが関の山である。 こうして、アスカは人質には逃げられ、ゲンキによって銃を失い、朝倉にの銃口を向けられ、事実上敗北した。 もうアスカに反撃する手段はない。 間違っても足元に落ちたナイフを拾おうとすれば、否応なく朝倉の拳銃が火を吹くだろう。 戦いは決着がつき、朝倉がアスカの動きを止めている横で、キョンの妹がゲンキに駆け寄る。 「また、助けられちまったな」 キョンの妹が盾を射出しなければ撃たれていただろう。 ゲンキはそれに対し彼女へ微笑みかけながら礼を言った。 彼女は微笑みと言葉を返した。 「そんなことないよ。 ゲンキ君がアスカの注意を引いてくれたおかげで、私は生きてるんだから……」 後編へ